昨日・・・というか一昨日、福岡で買った村上龍の「半島を出よ」を読了。外で写真を撮りながら移動中に読みふけり、そして帰宅後ほぼずっと読みっぱなし。丸二日かかった・・・。
2011年、経済失政と財政破綻から国際社会から孤立を深めた日本。高麗遠征軍を名乗る９人の北朝鮮のコマンドが開幕試合の福岡ドームを占拠、日本政府がなす術もないまま５００人の二次部隊が市中心部を制圧する。日本政府はさらなるテロの危機に福岡を封鎖する・・・。
読了した感想は、緻密な戦略シミュレーションであり、かつ壮大な虚構でもあり、とにかくスピード感のある展開に息をつく暇もなかった。日本が直面しうる危機に一石を投じる（そういや報道ステーションに作者が登場、この作品について話してた気がする）意味は大きく、この作品が出た05年当時から状況は大きく変化していない中で示唆に富む一方、登場人物の異常さに違和感を感じずにはいられなかった。政治的な側面も読み取れるが、根底には個人と国家、多数派と少数派という相反する概念をさまざまな場面で問いかける文学作品でもあった。そして表現がグロテスクな部分もあるので読むのにエネルギーを要した・・・。
ちなみに福岡市内ならびに九州を封鎖した場面で西鉄バスを除く全交通機関をストップ、とあり、西鉄大牟田線（この時はまだ天神大牟田線じゃなかったのか）もストップしていたが、西鉄バスが動くなら大牟田線も動かしていいんじゃないのとか、JRの車両を全て下関側に移動したとあったものの、そんなんどこに停めるんや・・・とかついついツッコミ入れたくなる描写があったものの。まぁそんなのはどうでもいいんですが。
舞台となった福岡ドーム・シーホークホテル付近は2006年に訪れているので、なんとなくリアリティを感じた。
なんせ読むのにエネルギーが居るので、１週間ぐらいで読んだ方がよかったと今更ながら思ってしまったのでした。
